なぜ暴落時には「悪いニュース」ばかり目につくのか?著名投資家の名言に学ぶ【メンタル管理術】

朝起きて、いつものように証券口座のアプリを開く。 画面が真っ赤っか(全面安)。資産額がガクッと減っている……。

そんな時、心臓がキュッとなりませんか?私はなります。何度経験しても、あの瞬間だけは嫌な汗が出ますよね。

そして慌ててニュースサイトを開くと、こんな見出しが目に飛び込んできます。 「〇〇ショック再来か?」「世界的な景気後退の懸念」「専門家が警鐘」

「うわ、やっぱり売ったほうがいいのかな……」

ちょっと待ってください。その「焦り」、実はあなたのせいではなく、脳の仕組みとメディアの特性のせいかもしれません。

今回は、暴落時こそ思い出したい「ニュースとの付き合い方」と、歴史的な投資家たちが教えてくれる「メンタルの守り方」について、少し肩の力を抜いてお話ししましょう。

目次

悪いニュースは「後出しジャンケン」

まず知っておいてほしいのは、「世界にはいつだって、良いニュースと悪いニュースの両方が存在している」という事実です。

景気が良い時だって、どこかの国では紛争が起きているし、どこかの企業は倒産しています。逆に、暴落している時だって、画期的な新技術は生まれているし、好調な企業だってあるんです。

でも、株価が暴落すると、SNSやメディアはこぞって「下がった理由」を探し始めます。

  • 「なぜ下がったのか?」→「あ、こんな悪いニュースがあったぞ」→「これが原因だ!」

という具合に、後付けで解説をするのがSNSやメディアの仕事なんですね。これを専門用語で「講釈(ナラティブ)の誤謬」なんて言ったりもしますが、要は「後出しジャンケン」です。

だから、暴落時に悪いニュースばかり目につくのは当然なんです。下がった理由として、悪いニュースだけがピックアップされているから。

「ニュースが悪いから下がった」のではなく、「下がったから悪いニュースが掘り起こされた」というケースも多い、と考えておくと、少し冷静になれませんか?

敵は「相場」ではなく、あなたの「感情」

投資の世界には「プロスペクト理論」という行動経済学の話があります。難しい話は抜きにして一言で言うと、これです。

人間は「100万円儲かる喜び」よりも、「100万円損する痛み」の方を2倍以上強く感じる。

私たちは、本能レベルで「損をするのが死ぬほど嫌い」な生き物なんです。 だから暴落時には、脳が全力で警報を鳴らします。「逃げろ! 売れ! これ以上痛い思いをするな!」と。

この本能に従って慌てて売ってしまうことを「狼狽(ろうばい)売り」と言いますが、これが投資で負ける一番のパターンです。

投資の神様たちも「恐怖」と戦っている

では、勝ち続けているプロたちは、暴落時にどう考えているのでしょうか? ここからは、心を落ち着かせるための「お守り」になる名言を2つ紹介します。

1. ウォーレン・バフェットの言葉

まずは、「投資の神様」ことウォーレン・バフェット氏のあまりにも有名な言葉です。

「他人が貪欲になっているときは恐る恐る。周りが怖がっているときは貪欲に。」

(Be fearful when others are greedy and greedy when others are fearful.)

出典:バークシャー・ハサウェイ「株主への手紙」など

みんなが「もうダメだ!」とパニックになって投げ売りしている時こそ、バフェット氏は「バーゲンセールだ!」と目を輝かせているわけです。

スーパーでお肉が半額になっていたら喜びますよね? 株も同じです。暴落は「安く買えるチャンス」でもあるんです。

2. ピーター・リンチの言葉

次に、伝説のファンドマネージャー、ピーター・リンチ氏の言葉。これも私が大好きな言葉です。

「株式投資で最も重要な器官は、脳ではなく胃袋である。」

(In the stock market, the most important organ is the stomach. It’s not the brain.)

出典:『ピーター・リンチの株で勝つ(One Up On Wall Street)』ほか

これは「大食いになれ」という意味ではありません(笑)。 「多少のショックがあっても、それを消化して、どっしりと構えていられる『腹の座り方(胆力)』こそが大事だ」ということです。

ハーバードを出た天才でも、暴落の恐怖に負けて売ってしまえば、ただの人。 逆に、知識はそこそこでも、「まあ、そのうち戻るでしょ」と腹を括って放置できる人の方が、結果的に資産を増やせるのが投資の世界なんです。

結論:「見ない」という最強の戦略

いろいろとお話ししてきましたが、暴落時のメンタル管理術として、私が一番おすすめしたいのはこれです。

「スマホを閉じて、相場から離れること」

悪いニュースを見れば見るほど、不安は増幅します。チャートを見れば見るほど、売りボタンを押したくなります。

バフェットやリンチの言葉を思い出したら、あとはもう、美味しいコーヒーでも飲んで、好きな映画でも観ましょう。 嵐の中で船の甲板に出て騒ぐ必要はありません。船室でじっとしていれば、いずれ嵐は過ぎ去ります。

「何もしない」ができる人こそが、最強の投資家。 そう信じて、今日のところはそっとアプリを閉じましょう。

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